笑う門には福来たる

おじさんの四次元ポケット

石井光太「蛍の森」を読み、ハンセン病を知る。


f:id:inudenchi:20170908204916j:plain

石井光太さんとの出会い

石井光太(いしいこうた)さんと言う作家さんがいます。

僕はこの方が書いた本がとても好きで、文庫になっているものをこれまでにも何冊か読んでいます。

石井光太さんを最初に知ったのは本屋さんでです。

僕は本屋が好きで、よく時間を潰したりしています。色々な本を眺め、気になったものは手に取り、その中でもこれは面白そうだな~と思ったものはつい買ってしまいます。

もちろん欲しい本などがあって本屋さんに行くこともありますが、特に目的もなく訪れ、いわゆる「ジャケ買い」みたいな感じで買うこともけっこあるんです。

そんなある日の本屋さんで、石井光太さんの「神の棄てた裸体-イスラームの夜を歩く」と言う本が目に留まり、面白そうだったので購入しました。

僕はそれまで、失礼ながら石井光太さんと言う作家さんを知りませんでしたので、それが最初に手に取った石井光太作品です。

神の棄てた裸体」はイスラム圏での性や、売春の実態など、著者が実際に体験したことを生々しく書いたノンフィクション作品で、めちゃめちゃ面白かったんです。

で、これが面白かったので、僕は本屋に行くたびに石井光太さんの本を探すように。

インドの現実を書いた「レンタルチャイルド」、世界の貧困を切り取った「絶対貧困」、この2冊を見つけあっと言う間に読んでしまいました。

どれも日本で暮らしている僕には想像もできない世界が、時にはおかしく、時には深刻に描かれています。

さらには、東日本大震災の被災地を取り上げた「遺体」。

これは僕は声を出して泣いてしまったくらい、胸に突き刺さるものがある作品でした。

そしてこの後読んだのが「蛍の森」と言う作品です。

こちらはノンフィクションではなく、小説と言う形態の作品だったのですが、これまた印象に残る作品でして、なかなか強烈な一冊でした。

僕がここまで読んだ石井光太さんの作品は、上記の5冊です。

他にも何冊か出ているのですが、まだ全部読んでいません。

これまで読んだ5冊がどれも素晴らしかったので、他の作品も一冊ずつ読んで行きたいと思っています。

ちなみに石井光太さんの風貌はこんな感じです。

f:id:inudenchi:20170908205256j:plain
(画像出典:pbs.twimg.com)

スキンヘッドで、ちょっといかついです。笑

僕はテレ東の「やりすぎ都市伝説」が大好きなのですが、それにも出演されています。

是非お名前と顔を覚えて、本屋さんで見てみてください。笑

 

「蛍の森」を読みハンセン病を知る

僕が一番最近読んだ石井光太さんの本が「蛍の森」と言う作品です。

これまで石井さんの本はノンフィクションしか読んだことがなかったのですが、これは小説です。

そしてその題材は「ハンセン病」です。

僕はこれまで「ハンセン病」について詳しくは知りませんでした。その病名をなんとなく聞いたことがある程度です。

たまにニュースなどで「ハンセン病」「賠償」「訴訟」「和解」などの言葉を耳にした覚えはあります。

感覚としては、昔ハンセン病と言う病気があって、その病気は国に何かしらの責任があり、裁判になっていたのかな~、くらいですね。

とりわけて関心があるわけでもなく、右から左へと流れて行くニュースの一つでしかありませんでした。

それが今回、石井光太さんの「蛍の森」を読んで、初めて知りました。

ハンセン病がどんな病気なのか。

そして、ハンセン病に対する差別がどんなにひどいものだったのか。

舞台は四国です。ハンセン病患者のお遍路さん、患者たちが隠れるように暮らすお寺、患者への差別と暴力。

過酷な運命を強いられた、当時のハンセン病患者たちの人生を、石井光太さんが小説と言う形で描いているんです。

読み進めるのが辛くなってしまうくらい、本当にひどい扱いを受ける患者たちがそこにはいます。

人間扱いされない患者たち、そして患者に非道の限りを尽くす側の人たち。

一つの病気を巡り、こんなにひどい歴史がこの国にはあったのかと…。

病気に対する知識不足や時代背景も一因にはあったのかもしれませんが、非道な差別と言う実態は、人間の闇の部分、醜い部分を白日の下に晒しているようです。

しかも当時は、法律によって患者は隔離され、国家の政策自体が、ハンセン病患者への差別を助長させるようなものでした。それが後のハンセン病訴訟にも繋がっています。

今まで僕はとりわけて関心を持つことがなかったハンセン病。

その差別の歴史を、「蛍の森」を通して知ることができました。

もちろんここに書かれていることが100%真実なのかどうかはわかりませんが、それは読んだ人がそれぞれ判断することだとは思います。

少なくとも僕は、ハンセン病の差別と言う歴史があったことを学び、より知ろうと思いました。この本をきっかけに。

そして、こんな言い方をして良いのかどうかわかりませんが…

蛍の森」は、めちゃめちゃ面白かったです。

 

ハンセン病について

「蛍の森」を読んで、ハンセン病について知りたくなりました。

まず、ハンセン病はその症状の外見から差別が拡大したとも言われているようです。

そうなりますと、どんな症状なのかやはり気になってしまいます。

ハンセン病で画像検索をしますと、実際のハンセン病患者さんの画像は出てきます。

どの画像を引用させて頂くべきか迷いましたので、Wikipediaの画像を引用させて頂きます。

f:id:inudenchi:20170908210134j:plain
(画像出典:ja.wikipedia.org)

こちらは「ハンセン病を患ったノルウェーの24歳の男性」の画像です。

ハンセン病は、日本では癩病(らい病)とも呼ばれていました。小説中にも「癩(らい)」と差別的に使われているのが何度となく出てきています。

らい菌と言う菌により引き起こされる感染症で、らい菌を発見したノルウェーの医師、アルマウェル・ハンセンに由来しています。

感染力も弱く、現在は治療法が確立されているので、日本での新規患者数は0~1人と言う稀な病気になっています。

しかし過去には、皮膚に重度の症状が現れ、重篤な後遺症を残す病気でもありました。

その外見や感染への恐怖などから、過剰な差別が生じた時代が、世界のどの国にもあったそうです。

「蛍の森」に描かれているのは、そんなひどい差別がまかり通っていた時代です。

日本でも隔離政策が取られ、これが憲法に反するとされ、後に裁判にもなっています。

それが「らい予防法違憲国家賠償訴訟」と呼ばれるものです。

当時のハンセン病患者の人たちが、どれほど苦しんで生きていたのか…。

今まで僕はそんなことすら一度も考えたことがありませんでしたので、考えるきかっけをくださった、石井光太さんに感謝したいです。

 

石井光太のすすめ

今回読んだ「蛍の森」。

これはもし本屋さんで見掛けましたら、是非手に取ってみてください。

そして読んでみてください。お勧めです。

もちろん通販でも買えます。

 

まだ僕は石井光太さんの本を全部読んだわけではありませんが、読んだものに関してはお勧めできます。

外れが一冊もありません。どれもめちゃめちゃ面白かったです。

まずは僕が初めて読んだ石井光太の本、「神の棄てた裸体-イスラームの夜を歩く」。性的なものがタブーとされるイスラムの世界での現実を描いたノンフィクションです。僕はこれを読んで石井光太さんにハマりました。

 

そして次に読んだのが「レンタルチャイルド-神に弄ばれる貧しき子供たち」。物乞いをするために腕を切り落とされたり、目を潰されるインドの子供たち。そんなインドの闇を描いた作品です。

 

続いて、「絶対貧困-世界リアル貧困学講義」。世界の貧しい人々の生活を、様々な角度から描いている作品です。

 

そして、東日本大震災の津波被害を描いた「遺体: 震災、津波の果てに」。石井光太さんの作品で、初めて日本について書いたものを読んだのがこれです。僕は泣きました。これは多くの人に読んでもらいたい、そう思った作品です。

 

以上ここまで5冊紹介させて頂きましたが、他にも僕が読んでいないものが何冊かあります。何冊もあると言うことは、それだけ楽しみが残っていると言うことです。笑

まだ見ぬ石井光太作品に、今からワクワクしています。笑

そしてまたどこかで、石井光太さんについて書きたいな~と思っています。

以上今日は、石井光太さんとハンセン病について書いてみました。

 

こちらの記事もおすすめ