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西村賢太がクソ面白い!芥川賞作家のぶっ飛んだ私小説。


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西村賢太との出会い

見出しに「西村賢太との出会い」と書いてありますが、西村賢太さん本人との出会いではありません。

念のために。笑

正確には「西村賢太さんの本との出会い」です。

西村賢太さんと言えば、2011年に芥川賞を受賞した作家さんです。その際の会見で「そろそろ風俗に行こうかなと思っていた」と言う発言でも、何かと話題になった人です。

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(画像出典:matome.naver.jp)

僕は昔から読書が好きでして、電車の中では一人の時はほぼ読書をしています。

あとは待ち合わせで誰かを待ってる時とかも、だいたい読書してますね。近くに本屋があれば、本屋で時間潰します。本屋にだったら長時間いられちゃいます。

僕の家からは、井の頭公園が歩いて15分くらいなんですけど、天気の良い日には、缶ビールを買って公園に行き、ベンチでそれを飲みながら読書するなんてことも。

幸せな時間です。

僕が読む本は、特に決まったものじゃジャンルとかはありません。気になったものをとりあえず読んでみる感じです。

で、芥川賞直木賞本屋大賞とか受賞した本は、やっぱり気になるわけですよ。

ミーハーではありますが、どんな内容なんだろう?と。

できればすぐにでも買って読みたい気持ちはあるのですが、僕は基本的に文庫派なんです。

家で読書をすることがほとんどなく、するのは外なんですよ。なので持ち運びしやすい文庫しか読まないんです。

さらには、単行本は値段が高いって理由もなくはないですが。笑

ですので、芥川賞とか取った作品はすぐに読みたいのですが、いつも文庫になってから買うんです。

つい先月も、又吉直樹さんの「火花」がようやく文庫になったので買ったところです。

とにかく話題のものは読んでおきたい人なんです。笑

そんな感じですので、西村賢太さんが芥川賞を取った時も、気になりました。西村賢太さんと言う作家さんを知ったのも、その時が初めてです。

芥川賞を取ったのは「苦役列車」と言う作品です。

ですので、「苦役列車」が文庫になったら買おうかな~と、その時はそれくらいにしか考えていませんでした。

しかしです。

それから西村賢太さんの存在すら忘れ掛けていた頃に、たまたまテレビに出てたんですよ、西村賢太さんが。

元SMAPの稲垣吾郎さんがMCをしていた「ゴロウ・デラックス」って番組です。

僕はそんなにテレビを見る方ではないのですが、たまたまテレビを付けたら西村賢太さんが出ていて、つい見ちゃいました。

そして…

それがめちゃめちゃ面白かったんですよ。笑

けっこう衝撃的でしたね。西村賢太すげ~!!と思ってしまいました。

で、西村賢太さんに興味が湧いてしまい、翌日には本屋さんに文庫を探しに。

芥川賞の「苦役列車」はまだ文庫になっていませんでしたが、他の作品が何冊かありましたので、その中の一冊をチョイスして購入。

廃疾かかえて(新潮文庫)」です。

これが僕が初めて読んだ彼の本になります。

 

そして西村賢太にハマる

文庫で買った「廃疾かかえて」。

読み始めますと、もう止まりません。

めちゃめちゃ面白くて、いっきに読んでしまいました。

西村賢太さん本人を思わせる「貫太」と言う男がいまして、その「寛太」の目線からの日常を三人称で語る形の私小説です。

寛太」は「秋恵」と言う女性と同棲しているのですが、寛太の秋恵に対する行いが、最悪なんですよ。笑

また、性欲を中心にした寛太の欲望、あらゆる汚い感情、そして理不尽な行動

普通なら、他人には絶対に知られたくないようなこと隠しておきたいようなことばかりを、完全にぶっちゃけて書いちゃってる感じなんです。笑

これでもかと言うくらいに赤裸々に。笑

そして、その内容が人としてはおそらく「最低」と言われる内容なんでしょうけど、読んでいる方としては、もう面白くてたまらないんです。笑

また、西村賢太さんの文章も、実は物凄く計算されてるのでは?と思うくらい、大変読みやすく、あっと言う間に惹き込まれてしまいます。

西村賢太さんならではの独特な言い回しとか、敢えて古くさい言い回しだとか、随所に出てくるんですけど、全く読みづらさなどなく、むしろテンポも素晴らしいです。

最初にも書きました通り、僕は本が好きで、けっこう色々な本を読んでいます。

そんな中、久しぶりに、この西村賢太さんの「廃疾かかえて」に大きな衝撃を受けました。

そして、完全にハマりました

「廃疾かかえて」を読み終わった僕は、その後片っぱしから西村賢太さんの作品で、文庫になっているものを読みあさることに。

・「どうで死ぬ身の一踊り (新潮文庫)

・「暗渠の宿 (新潮文庫)

・「二度はゆけぬ町の地図 (角川文庫)

・「けがれなき酒のへど (幻冬舎文庫)

・「小銭をかぞえる (文春文庫)

・「苦役列車 (新潮文庫)

・「人もいない春 (角川文庫)

・「棺に跨がる (文春文庫)

・「寒灯・腐泥の果実 (新潮文庫)

・「小説にすがりつきたい夜もある (文春文庫)

・「一私小説書きの日乗 (角川文庫)

・「一私小説書きの弁 (新潮文庫)

僕が読んだのはこんなところでしょうか。

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文庫になっているものは、ほぼ制覇しているのではないかと。

さらには、西村賢太さんが敬愛して止まない、藤澤清造さんと言う明治から昭和にかけての私小説家がいらっしゃいまして、西村賢太さんがその藤澤清造さんの本をおそらく再編とかして出してるんです。

・「藤澤清造短篇集 (新潮文庫)

・「根津権現裏 (新潮文庫)

この二冊も読みました。

僕はジャンルや作家を問わず、気になったものは読んでみる感じなのですが、気に入ってしまった作家さんがいますと、その人の本ばかり読み漁ってしまう傾向があります。

西村賢太さんは、最初の一冊で完全にやられまして、もう後は止まらなかったです。

 

西村賢太の勧め

僕は西村賢太さんの本が大好きです。

そして、たまに友人との会話で「最近おすすめの本とかある?」とか聞かれることがありますと、その度に「西村賢太が面白い」と言ってきました。

その甲斐あってか、何人かの友人は見事に西村賢太さんにハマり、僕から次々と文庫を借りて行くことに。

もちろん人の好みは人それぞれですので、ハマらなかった友人もいます。

二冊読んで「飽きてしまった」と言った友人や、「全部同じじゃん」と言った友人も。

確かに、西村賢太さんの小説は、全部同じと言ってしまえば、そうなのかもしれません。その言わんとすることは、わからないわけでもないですね。主人公の貫太と、同棲する秋恵の生活を中心に描かれると言うパターンは多いですし、基本的にはそんな日常を切り取った私小説ですので。

しかしながら、僕の場合は飽きるとかは全くなかったんですよ。全部同じじゃん、と思ったことも一度もありませんでした。

むしろ、貫太と秋恵の日常が面白くてたまりませんでしたね。笑

こればかりは、読んでみて好みに合うかどうかの問題なんだとは思うのですが…。

主人公の貫太は、本当に最低な男なんですよ。笑

その最低っぷりが、もう面白くて仕方ありません。

この貫太は西村賢太さん自身のことなのかな~と、きっと読んだ誰しもが思ってしまうかと思うのですが…

そればかりは謎です。笑

あと、芥川賞を受賞した「苦役列車」は映画にもなってるんですよね。森山未來さん主演で。

僕は文庫はほぼ制覇していながら、まだこの映画を見ていないんです。見たいな~とは常々思ってるんですけどね。

西村賢太さん自身は、この映画に対して「興味がない」的なことを何かで書いてるのを見てしまったので、それで僕もそこまで映画を積極的に見る姿勢になってないのかもしれませんが…笑。

どこかのタイミングで見れればと思っています。確かhuluでもあった覚えがありますので。

そして、新たな文庫が出ることを、今か今かと待ち望んでいます。

好き嫌いはあるのかもしれませんが、是非まずは一冊西村賢太さんをお勧めしたいと思います。とても読みやすいので、すぐ読めてしまうはずです。

最初は芥川賞を取った「苦役列車」でも良いんですけど、僕は自分がまずハマった「廃疾かかえて」からをお勧めします。

 

 

(記事トップ画像出典:book.asahi.com)

 

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