住野よる『君の膵臓をたべたい』
住野よるさん著の『君の膵臓をたべたい』を読みました。
けっこうインパクトのあるタイトルだったためか、読む以前にも、いつの間にか僕の頭の中にその存在は刷り込まれていました。
本屋さんで見掛けたり、あるいは本屋大賞の入賞作品中に目にしたり。
さらには漫画化、実写映画化、アニメ映画化もされているようですので、そのCM的なもので見掛けている可能性もあります。
おそらくそんなことの積み重ねにより、僕の頭の中には、いつの間にか「君の膵臓をたべたい」というタイトルが明確にインプットされてしまったようです。
とは言え、最初僕はそこまでこの作品に興味を持っていたわけではありません。
タイトルこそ刷り込まれてはいたのですが、失礼を承知で申し上げますと、正直よくある類の小説だと勝手に思ってしまっていたんです。
膵臓を食べたいというタイトルから察するに、きっと「恋人が膵臓の病気になって…」という類の話だろうな~と。笑
読みもしないのに勝手なイメージを持ってしまうのって、とても損なことだとはよくわかっています。本に限らず映画にしても音楽にしても、見てみないと、聴いてみないとわからないですからね。
しかしながら僕は『君の膵臓をたべたい』に対して、「よくある恋愛&病気のストーリー」で、漠然とではありますが、どうせ内容もチープなものなのでは?なんて、そんなことまで思ってしまっていたんです。
そんな自分が嫌になります。
謝りたいです。
住野よるさんに、また、この作品を読んで涙した皆様にも、土下座したいです。
最近僕は本屋大賞の入賞作品を片っ端から読み漁っていまして、『君の膵臓をたべたい』は2016年の本屋大賞第2位の作品なんです。
で、当初そんなに乗り気はしなかったものの、行きつけのブックオフにて『君の膵臓をたべたい』を見つけ、2016年の2位作品だし、まぁ読んでみるかと。笑
そんなひねくれた気持ちで、『君の膵臓をたべたい』を手に取った僕を、どうか許してください。
『君の膵臓をたべたい』は、とっても素敵な物語でした。
僕は泣きました。
桜良が魅力的過ぎて
さきほど僕は、どうせこの本は「恋人が膵臓の病気になって…」みたいなストーリーだろう、と読む前から思っていた、と書きました。
それは大筋では間違ってないのですが(恋人ではありませんが)、『君の膵臓をたべたい』は、その中身が素晴らしかったです。
展開だったり、人物設定だったり、描写だったり、惹き込まれる要素はたくさんあるのですが、中でも僕は病気の女の子である桜良(さくら)の描き方にやられました。
彼女がめちゃめちゃ魅力的なんです。
主人公の「僕」とは正反対な彼女。
みんなきっと彼女のことを好きになってしまうのでは?と思ってしまうくらい彼女には魅力があります。
少なくとも僕は、間違いなく好きになりました。笑
どうしたらこんなに魅力的な女の子を描けるんでしょう。住野よるさんって凄いです。
そんな彼女と、主人公である「僕」の出会い、関わり方、時間の過ごし方。
読めば読むほど、桜良という女の子に魅せられます。
そして、もう一つその魅力を際立たせる要素として、「僕」と桜良の会話というものがあるかとは思います。
会話のセンスが素晴らしいんです。
僕のような凡人が、そんな偉そうに評するのもどうかとは思いますけれど…笑。
ものすごく「今どき」っぽい感じの会話ではあるのですが、どれも面白く、センスが良く、テンポもいいです。この会話の部分だけでも相当楽しめるかと思います。笑
桜良の魅力や会話のセンスなど、作品の中でもそれらは重要な要素だとは思いますが、もちろん全体としてこの物語はとても素敵です。
読み始めてすぐにその世界に惹き込まれ、最後は心を揺さぶられます。
そして、とても温かい気持ちにもなる作品でした。
僕が好きな作家さんの一人で、乙一さんという方がいらっしゃいますが、彼の短編で『しあわせは子猫のかたち』というのがあります。僕は大好きなお話です。
『失はれる物語』という短編集がありまして、その中に入っているものを僕は読みました。
このたび『君の膵臓をたべたい』を読んで、僕はこの乙一さんの『しあわせは子猫のかたち』を思い出しました。
どちらも世界との関わり方が下手な主人公が、少女と接して変わっていくお話で、共通するものを感じました。全く違う作家さんの世界観で描いたものではありますけれど、どちらも言わんとしていることは近い気がします。
そして、どちらもとても素敵な作品です。
『しあわせは子猫のかたち』は上記の短編集以外でも、角川つばさ文庫からも出ているようですので、是非読んでみてください。お勧めです。
実写映画とアニメと漫画も
小説で『君の膵臓をたべたい』が発行されたのが2015年です。
その後、2016年には漫画になり、2017年には実写映画が公開され、2018年にはアニメ映画が公開予定とのこと。
小説がとても良かったので、映画の方なんかも気になってきます。
是非見てみたい。
まずは漫画ですが、桐原いづみさんという漫画家さんによって、描かれたもので、上下2巻で出ています。
続いては実写版の映画。こちらは2017年公開ですので、既にDVD&ブルーレイになってます。
実写版で主人公の「僕」を演じているのは北村匠海(きたむらたくみ)さん、桜良を演じているのは浜辺美波(はまべみなみ)さんです。その他に、小栗旬さん、北川景子さん、上地雄輔さんなども出演されています。
この実写映画はかなり観てみたいです。映画ではこの物語がどのように描かれているのか、興味深々でございます。
そして、2018年9月1日にはアニメ映画が公開予定。
こちらもとっても気になります。
漫画、実写映画、アニメ映画。この際全部見比べてみたくなりました。笑
住野よるさんの他作品
僕は住野よるさんの本を読んだのは、『君の膵臓をたべたい』が初めてです。住野よるさんがどのような作家さんなのかも全く知らず、当然他にどのような作品があるのかも知りませんでした。
男性なのか女性なのかもわからず…笑。
で、とりあえずWikipediaを見てみたところ、男性でした。
そして、『君の膵臓をたべたい』が住野よるさんのデビュー作だったんです。
てっきりそれ以前にも何冊か書いていらっしゃると勝手ながら思っていたのですが、これが最初の作品だったんですね。
『君の膵臓をたべたい』の発売は2015年6月です。
その後、現在(2018年8月)までの時点で、他には以下の作品がありました。
- 『また、同じ夢を見ていた』(2016年2月)
- 『よるのばけもの』(2016年12月)
- 『か「」く「」し「」ご「」と「』(2017年3月)
- 『青くて痛くて脆い』(2017年3月)
他にも短編やコラボ作品などもありますが、ひとまず上記を紹介しておきます。
まだ僕は『君の膵臓をたべたい』以外読んだことがないので、他の作品がどんな感じなのか、どんな内容なのか、とても気になります。
とりあえず行きつけのブックオフで探してみて、見当たらなければ本屋さん、もしくはamazonにて買ってみようかと思います。
まだ住野よるさん未体験の方は、まずは『君の膵臓をたべたい』からいってみましょう!!
とっても素敵な作品ですので、是非読んでみてください。お勧めです!!