百田尚樹が好きだ
僕は百田尚樹さんが大好きです。
いや、ちょっと誤解があるかもしれませんので言い直しますと、僕は百田尚樹さんの本が大好きです。笑
僕の場合は一般的ではありますが、知名度も高い「永遠の0」「BOX!」「海賊とよばれた男」などが百田尚樹さんを読み始めたきっかけです。そして、その面白さに完全に取り込まれました。
それからというもの、古本で申し訳ありませんが、近所のブックオフに行くたびに、読んだことのない百田尚樹作品を見つけると買う、という行為が常態化するようになり、気が付けば文庫になっているものは、ほぼ読んでいるのでは?と思われます。
百田尚樹さんは、作品によって色が全然違います。よくこれだけ全く違うものを書けるな~と、素人ながら思ってしまう程です。
百田尚樹さんがどんな風貌なのか、ご存知の人もけっこういるかと思いますが、見た目はツルっぱげのおっさんです。笑
(画像出典:bunbun38.xsrv.jp)
僕はつい先日このブログ内で、石井光太さんが好きだと書いたばかりです。石井光太さんがどんな風貌なのかご存知の方は、この時点で既にお気付きかと思うのですが…。
百田尚樹さんも石井光太さんさんも、二人ともツルっぱげなんですよ。笑
こちらが石井光太さんです。
(画像出典:pbs.twimg.com)
これは、僕は別にハゲの作家が好きというわけではありません。たまたまです。笑
たまたま好きな作家さんがツルっぱげだった、と言うだけです。もちろんフサフサの作家さんでも好きな方はたくさんいますので。
そしてたまたま、このブログ内で紹介する作家さんに、ツルっぱげが並んでしまっただけです。笑
と、なんだかとても失礼な書き出しにはなってしまいましたが、僕はホントに百田尚樹作品が大好きでして、今日はそんな中の「風の中のマリア」について書かせて頂こうと思います。
オオスズメバチの物語
「風の中のマリア」は、オオスズメバチの物語です。オオスズメバチが擬人化された小説です。
オオスズメバチは世界で一番大きなハチで、最恐の昆虫とも言われています。強力な毒を持ち、性格は攻撃的で凶暴、その戦闘能力はめちゃめちゃ高いです。
他のハチもエサとして狩りますし、時には巣を襲って根こそぎ奪うことも。
まさに最強のハチで、人間にとっても恐ろしい存在です。
主人公は、そんなオオスズメバチの働き蜂(ウォーカー)であるマリア。彼女の物語が、彼女の視点で一人称で描かれています。
マリアは女王蜂が産んだ妹たちを育てるため、毎日毎日狩りに出ます。時には命を落としてもおかしくない、激しい闘いをすることも。
エサとする昆虫を狩るための戦闘。他のスズメバチ一族との縄張り争い。鳥やオニヤンマなどの敵。死んでいく大勢の仲間達。そして、子供を産むのは女王蜂のみで、他のメス蜂は恋もしなければ、子供を産まないという、ハチの特異性。
蜂たちは、王国を守るために与えられた自分の使命に従い、自らの命よりも巣の繁栄を願います。
巣のために、一日一日、命を懸けて生きてるんです。
働き蜂として生まれたマリアの一生は、王国の繁栄のために捧げた一生です。それは壮絶な闘いの日々であり、とても儚いものなんです。
オオスズメバチの働き蜂の寿命は、1ヶ月半~2ヶ月だそうです。
百田尚樹さんは、そんな働き蜂の儚い一生を、マリアという一匹の働き蜂になった目線で、読む人に見せてくれるんです。
それが「風の中のマリア」という作品です。
オオスズメバチが好きになる
僕は正直、ハチというものが苦手です。
昆虫全般が苦手というわけではなく、ハチがダメなんです。怖いんです。笑
と言いますのも、僕は小学生のときに、お腹をハチに刺されました。ハチの種類までは何バチだったかわからないのですが、刺されました。
そして、とっても痛かったんです…。
さらには、僕には二つ下の弟がいるのですが、同じく小学校の時に、弟がハチに刺されて大泣きしてる様子を間近に見てしまったという事件もありました。その時は、なんと洗濯物のズボンの中にハチがいて、ズボンをはいた弟が刺されたという、恐ろしい事件でした。笑
そんなことがあり、ハチに対して僕は恐怖を抱くように。
ミツバチならまだ小さいですからそこまでビビリはしないのですが、これがスズメバチだったり、クマンバチだったり、でかい奴だとマジで怖いです。
特に、スズメバチの王様、オオスズメバチなんて見た日には、もうビビりまくりです。
巣に近づくとか、こちらから攻撃するとか、そういうのをしない限りは、普通にしていれば襲われる可能性は少ないのはわかってはいるのですが、やっぱりその姿が目に入ると、必要以上に警戒してしまうんです。
だって、まずオオスズメバチは見た目がヤバイです。オオスズメバチを研究しているサイトから画像を引用させて頂きますが、こんなんですよ。
(画像出典:www.agr.kyushu-u.ac.jp)
もう、この色からして恐怖を覚えます。笑
さらに、この顔を見てください。こちらも同じサイトから画像を引用させて頂きます。
(画像出典:www.agr.kyushu-u.ac.jp)
なんと恐ろしい顔をしていることか…。もう、見るからに凶暴ですよね。
こんな凶暴そうなオオスズメバチなんて、できれば出会いたくはない、関わり合いたくはない、僕はこれまでそう思って生きてきました。
しかしです。
今回、百田尚樹さんの「風の中のマリア」を読んだことにより、なんと僕はオオスズメバチに対して、愛着が湧いてしまっているではないですか。
「風の中のマリア」で描かれていたオオスズメバチの一生。
それを読んだことにより、オオスズメバチがとても愛おしく感じるようになってしまったんです。
もちろん刺されるのは怖いですけれど、間違いなく今までとは違った視線で、ハチを見るようになりました。
「風の中のマリア」のすすめ
「風の中のマリア」を読んで、これまでは苦手だったオオスズメバチに愛着を持つようになったことは先に書きましたが、もちろんそれだけではなく、この小説は面白い小説でした。
単純に「面白さ」だけで比較しますと、個人的には「風の中のマリア」よりは、「永遠の0」「BOX!」「海賊とよばれた男」の方が面白かったです。笑
しかし、僕の中で「風の中のマリア」はとても印象に残る一冊になりました。
スズメバチを擬人化した小説というもの自体、僕は読むのが初めてです。たぶん他にはないんじゃないかとも思います。
僕はこれまで、スズメバチを怖れてはいましたが、だからと言って特別な興味があったわけでもなく、知識があったわけでもありません。
しかし「風の中のマリア」を読むことで、オオスズメバチの生態を詳しく知ることができ、その不思議の数々に興味も湧きました。
働き蜂は全員メスだということや、王国の中での役割分担や、肉食なのは幼虫だけで成虫は肉は食べないことや、ミツバチが集団でオオスズメバチと闘う方法などなど…。
また、オオスズメバチは、狩りをした後、その獲物を肉団子にして巣に持ち帰るんです。その描写が何度も出てくるのですが、僕のイメージがあまり具体的に完成されなかったので、画像検索をしてみました。オオスズメバチが作る肉団子について。
色々探しておりましたら、他の方が書いていらっしゃるブログで、オオスズメバチがアブラゼミを襲い、肉団子にしている様子を載せているサイトがありましたので、リンクを貼らせて頂きます。
Hunting now !!(オオスズメバチ): るりぼしの日々雑感
蜂の生態というのは本当に興味深くて不思議なことが多く、これまで僕が知らなかったことばかりで、どれもこれも面白いです。
そう言った意味でもこの本は、「オオスズメバチについて学ぶことができる本」だとも思います。
普通にオオスズメバチの生態を学んだとしても、僕の場合あまり頭に入らないかもしれないのですが…笑。この小説のように、擬人化されたオオスズメバチの戦士の目線で語られる物語だと、とても入ってきやすいです。
へぇ~、と思うことがたくさんで、ハチって凄いな~としみじみ思ってしまいました。
これまでは、オオスズメバチを見かけるとビビるだけの僕でしたが、今ではその姿を見ますと…。
「今日も巣で待つ妹たちのために、エサを必死で探してるんだろうなぁ」
「あの働き蜂の寿命はあとどれくらいなんだろう」
「鳥やオニヤンマに警戒しながら飛んでるんだろうなぁ」
「蜜で体力を回復してるんだろうなぁ」
などと、なんだか優しい目でハチを見ている自分がいるんです。笑
きっと「風の中のマリア」を読んだ人は、ハチに対する見方が変わる人も多いのではないかと。
そしてもちろん、オオスズメバチについて学ぶことができるという以外にも、見どころはたくさんあります。
自らの命を賭して、家族を守り国を守るハチ達の姿。
百田尚樹さんは右寄りな方ですので、もしかしたらこの本は、見方によっては、そのような側面を感じてしまうかもしれません。
僕が最近読んだ百田尚樹さんの「カエルの楽園」は、「風の中のマリア」がオオスズメバチを擬人化しているのと同じく、カエルを擬人化した小説でした。そして尖閣諸島や竹島などの問題を連想させる、「国防」について考えさせられる本でした。
「風の中のマリア」も「カエルの楽園」も、主人公は人間ではないという共通点こそあれ、僕は個人的にこの二つは全く違った小説だと思っています。
戦士マリアの一生を通して、オオスズメバチを描いた「風の中のマリア」。
楽園を探し求めるカエルを通して、国防について描いた「カエルの楽園」。
それぞれ全く違った魅力がありますので、どちらもお勧めしたい小説です。
ですがもし、百田尚樹さんを今まで一度も読んだことがない場合には、「永遠の0」か「BOX!」あたりから入った方が良いかもしれませんけれど…笑。その後には是非、「風の中のマリア」で、オオスズメバチの戦士マリアの生涯を読んでみてください。
百田尚樹さんの「風の中のマリア」。
また一冊素敵な小説に出会うことができました。